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会長からのメッセージ<

Optics & Photonics Newsをお読みになられる多くの皆さんと同じように、私も5月7日から12日まで米国のカリフォルニア州サンホゼで開催されるCLEO会議・展示会を楽しみにしています。科学、工学、応用を結びつけるこの会議は、私にとっては常にとても大きな意味があるものです。2000年に学生として初めてCLEOで話をしたときの緊張を今でも覚えています。時を経て、毎年同じイベントで顔を合わせるうちにこれまで出会った人たちが自分の仲間となり、会議はただアイデアを分かちあうだけでなく、旧友と会える機会にもなっていきました。

もちろん、CLEOのような会議は、新しい人たちに出会い、新しい見方に触れる機会でもあります。そしてそれにより、この分野の長年の課題である、多様性を高め、科学と工学がすべての人を歓迎できるようにするというニーズを否が応でも思い出します。

アメリカ国立科学財団の最近の報告書 (ncses.nsf.gov/pubs/nsf23315/)によれば、このことについて状況が好転していると信じるに足る理由がいくつか挙げられています。しかし、まだまだ道のりは遠いことも示されています。2011年から2021年の間に、科学や工学の学位を持つ黒人、ヒスパニック、アメリカインディアン、アラスカ先住民の数及び雇用数が大幅に増加したことが報告されていますが、我々のコミュニティを含むSTEM分野では、これらのグループの出身者は依然として少ないままです。

Opticaのようなグローバルな学会や、そのサービス提供の対象となるより広範囲の人々にとって、このような格差は継続して排除に努めていかなければならないものです。その目標に向けて、Opticaは近年さまざまなプログラムを強化してまいりました。たとえば「Amplify」と呼ばれる奨学金がありますが、これは黒人の科学者や学生のための助成金やイマ-ジョン・プログラムを公開しています。また、および女性科学者や家庭と仕事の両立を目指す人々のためにはOptica 女性研究者用助成金、出張用助成金をはじめとする支援も用意しています。その他にも、Opticaやそのガバナンス構造をより多様性のあるものにするためのさまざまな取り組みが行われています。

さらに、多様性というゴールは国際的な領域にも及び、さまざまな国の科学者を結びつけていますが、これには変革をもたらす影響力があります。今年のCLEOの基調講演者の一人であるGihan Kamel氏は、SESAMEシンクロトロン光源のIRビームラインの主任研究員です。ちょうどほぼ6年前にヨルダンのアランで運営が始まったこの素晴らしい施設は、各国政府が対立することが多い様々な中東諸国を出身とする科学者たちが協力して作り上げてきたものです。

また、CLEO 2023では、この分野における多様性向上の機会にスポットライトを当てたパネルディスカッションがいくつか行われることになっています。STEM分野における女性や過小評価されているグループに対する教育パイプラインの強化と、職場におけるチームの多様性を育むことが狙いです。このようなイニシアチブを推進する社会やコミュニティの一員であることを私は誇りに思っております。進歩は必然的に少しずつしか実現しませんが、そうした一つ一つの小さなステップの積み重ねが、より良い未来へと我々を連れて行ってくれるものであると私は信じています。

そのような未来に目を向けながらも、過去を振り返ることも時には大切です。OPNの今月号の34ページから始まる光学・フォトニックサイエンスにおける黒人パイオニア6名のプロフィールを是非お読みください。彼らの画期的な業績や、長いキャリアの中で彼らが目の当たりにしてきた変化についての視点は、多様性、包括性、公平性がいかに科学や社会を強固なものにしてくれるかを思い出させてくれることでしょう。

ミハル・リプソン

Optica 会長

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